黄色ブドウ球菌とは|原因や症状、感染経路、検査、治療法

黄色ブドウ球菌とは?

黄色ブドウ球菌は顕微鏡で観察すると、ぶどうの房状に見えるために「ブドウ球菌」と呼ばれます。

手指、鼻、のど、皮膚などどこにでも存在しており、健康なときには害を受けることはほとんどありませんが、免疫力が低下しているときや、傷口があると感染症を引き起こしやすくなります。

黄色ブドウ球菌の中には、抗生物質に抵抗力がある「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」という黄色ブドウ球菌が存在し、抗生物質が効きにくいため、重症化して骨髄炎や敗血症などを引き起こすと知られています。

黄色ブドウ球菌の感染経路は?

感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染や、飛沫がついたドアノブなどを触った手で鼻や口、傷口を触ることに寄る接触感染により感染が広がります。

黄色ブドウ球菌に感染すると現れる症状は?

ブドウ球菌が感染する部位によって、発症する病気と症状が異なります。

とびひ(伝染性膿痂疹)

怪我や虫刺され、あせもなどを掻き壊した傷口から細菌が感染します。感染すると傷口にはかゆみの強い膿んだ水ぶくれができます。

水ぶくれを掻き壊して膿がついた手で他の部位を触ると感染が全身へと広がっていくので注意が必要です。

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)

新生児や低月齢の乳児に多くみられ、首やわきの皮膚がただれたあと、短期間で全身にやけどに似た皮膚症状が現れて大きく皮がむけます。

化膿性乳房炎

乳児に歯が生え始めて授乳の際に乳首を傷つけてしまうと、母親がブドウ球菌に感染して発熱や、悪寒、おっぱいの腫れやしこりなどが起きることがあります。

骨髄炎

皮膚の傷口から骨まで細菌が感染して炎症が起きている状態で、発熱や皮膚の腫れ、食欲不振、倦怠感などが起きることがあります。

肺炎

免疫力の低い新生児や乳児にみられ、細菌が肺に感染するとこで肺炎を発症することがあります。主な症状は、高熱、痰の絡んだ咳、急激な呼吸困難などが起こることがあります。

食中毒

黄色ブドウ球菌は食品中で増殖すると、エンテロトキシンと呼ばれる毒素を産生します。エンテロトキシンを含む食品を食べると、約3時間後に激しい吐き気や嘔吐、腹痛、下痢など急性の胃腸炎症状が現れます。

一般的には1〜2日で症状は治まりますが、摂取した毒素量が多いときは重症化して、発熱やショック症状が現れるため、入院して治療する必要があります。

黄色ブドウ球菌の検査方法は?

全身の症状を観察し、血液や痰、水ぶくれの膿に黄色ブドウ球菌が含まれているかを調べます。

骨髄炎の発症の疑いがあるときは、レントゲン検査やCTR検査、MRI検査、骨生検検査などの検査が行われる場合があります。

黄色ブドウ球菌の治療方法は?

黄色ブドウ球菌に対する抗生物質を使用することが一般的ですが、黄色ブドウ球菌の中にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のように特定の抗生物質に対して抵抗を持っている場合もあるので注意が必要です。

骨髄炎や肺炎まで症状が悪化している場合は、抗生物質を点滴で投与する必要があるため入院を行います。

黄色ブドウ球菌の自宅でのケア方法

抗生物質の服用以外にも自宅で次のようなケアを行いましょう。

栄養と休息をとる

肉体的にも疲労が溜まっていたり、栄養不足な状態だと免疫力が低下しやすいので、休息とビタミンを中心とした栄養をしっかりとり免疫力を維持するように心がけてください。

爪を短くする

水ぶくれを掻きむしったときに、水ぶくれを潰さないように爪は短くしておきましょう。

皮膚が乾燥していると肌のバリア機能が低下するので、クリームやローションを使って保湿することも大切です。

黄色ブドウ球菌の予防方法は?

外出から帰ってきたときにはせっけんでこまめに手洗いして、うがいも行いましょう。アルコール系の手指消毒液を使うことも感染の予防には効果的です。