破傷風とは|原因や症状、感染経路、検査、治療法

破傷風とは?

破傷風とは、「破傷風菌」が傷口から感染して、菌が生成する毒素により神経障害を引き起こす病気です。破傷風菌は、土などの環境中に常に存在している細菌です。

破傷風は、発症すると重症化しやすく、死亡率も高い病気なので注意が必要ですが、定期接種として破傷風の予防接種が行われています。

破傷風の感染経路は?

人から人に移ることはなく、皮膚の傷口に砂や土、木の破片などとともに破傷風菌が侵入することで感染を起こします。

皮膚のケガの大小に関わらず傷口から感染するため、道で転んだり、土をいじっている際にできた小さな擦り傷や切り傷から感染する可能性もあります。

破傷風で現れる症状は?

破傷風菌が産生する毒素により徐々に神経系に障害が生じます。症状の進行度合いは以下の4段階に分かれます。

破傷風を発症した際の死亡率は約30%とされており、第一期〜第三期まで48時間以内に進行する場合は致死率が更に高まるといわれているので、口を開きにくいなどの初期症状がみられたときは一度病院を受診しましょう。

第一期

口の周りの筋肉がこわばり、歯が噛み合った状態になるため、食事が上手く取れなくなります。また、寝汗・歯ぎしりがひどいなどの症状が現れます。

第二期

顔の筋肉がさらにこわばって、口が開きにくくなります。また顔の筋肉がこわばることにより、歯をむき出した「ひきつり笑い」のような表情がみられます。

第三期

顔の筋肉のこわばりだけではなく、首や背中の筋肉にも硬直が広がり、手足を突っ張ったままけいれんするようになります。

第三期の症状が破傷風の中で最も危険性が高く、「反弓緊張」という体が弓なりに反り返る姿勢を取るようになったり、呼吸困難が生じることもあります。

第四期

次第にけいれん症状は治まりますが、筋肉のこわばりは少し残ります。

破傷風の検査方法は?

破傷風の特徴的な身体的な症状を元に診断を行います。患者の傷口から細菌を培養して破傷風菌を検出する検査は陰性であることが多く、破傷風の非感染者からも検出されることもあるので、特別な検査は行いません。

破傷風の治療方法は?

皮膚に傷口があり、破傷風に感染した可能性があるときは、傷口を洗浄して抗菌剤を投与することで破傷風菌を減らして、毒素を中和するために抗毒素血清を使用して治療を行います。

また、顔面のこわばりなど破傷風を疑う症状がすでに現れている場合は、抗菌剤や血清の投与と抗けいれん剤や呼吸、血圧の管理を行うために、集中治療室で全身管理を行います。

破傷風の予防方法は?

破傷風を予防するには予防接種を受けることが最も効果的です。破傷風は四種混合ワクチンとして定期接種に定められており、生後3ヶ月〜7歳6ヶ月の間であれば4回無償で予防接種を受けることができます。

破傷風ワクチンは4回すべて受けたとしても、約10年間しか免疫が続きません。そのため、二種混合ワクチンとして、11歳〜13歳未満のうちであれば、定期接種として無料で受けることができます。

上記以外の期間にワクチンを接種する場合は、2,000〜4,000円程度の自費診療で受けることができます。